楽しみにしていた180kmのBIKE旅が終わった。さすがに両脚へのダメージはある。しかし、余裕が感じられたのは今までにない感覚だった。
乗り終えたBIKEはボランティアが駆け寄ってきてくれ、彼らが受け取ってくれた。選手を導くかのように足元へ敷かれた絨毯の上をとぼとぼと歩く。
BIKEの後半抜きつ抜かれつを繰り返した同AGEカテゴリー(であろう)の男性選手から思いがけず後ろから声を掛けられた。
「そのIRONMANのベストを追いかけてBIKEゴールができた。ありがとう!」自分が着ていたベストを指差しながらの声掛けだった。同じようなタイムを刻む選手は、その姿を視界に捉えつつBIKEを走らせるので、無意識に着用しているジャージが目に焼き付くのだろう。自分もそうだった。
横からは、てるみんがフェンス越しに声をかけてくる。「おつかれさま!」事故なくここまで無事に帰ってきたことは、彼女への恩返しだ。
RUNGEARのバッグを受け取り、着替えのテントへ入る。既に十数人の選手が椅子に腰を下ろし、お色直し中だった。
ほっとするT2の時間。せめて10分以内に済ませたいところだろうが、毎回20分ほどの時間を要する。今回も5本指ソックスを準備していたため大きなロスがあることは予想していたのだが、事前に何度も練習をした(笑)しかし、肝心のワセリンが手元に無いことに気付き、キョロキョロと辺りを見回すと、出口付近のテーブル上に鎮座しているブツを発見。

不意に「おつかれさま」と日本語で話しかけられる。キョロキョロとしていた姿をボランティアに見られていたようだ。すかさず「ワセリンある?」とベタな日本語で話しかけると、「持ってくるから待ってて!」とこれまた日本語で返答。すぐさまテーブル上のワセリンを自分の椅子まで持ってきてくれた。彼の名前はJIM、50代と思しき男性だった。
「日本語上手ですね」というと、以前、千葉県に仕事の都合で在住していたそう。その彼に、着替えや、片付けを助けてもらうことに。不要になったBIKEギアをバッグに入れて彼に渡して、「TAROは凄い!絶対ゴールできるよ!」とたいそうな誉め言葉と十分な激励を受ける。こんなやりとりが、海外大会の醍醐味の一つだ。
JIMとの別れを惜しみつつ、補給食とロキソニンを口に入れテントを出た。
外はまだまだ明るい。暖かさはまだ残っている。両手袋、アームカバー等の防寒用具はそのまま身に着けてスタートした。
お色直しの時間ですっかりお待たせした、てるみんと「去年はここまでだったなぁ、今年は大丈夫だよ」と会話を交わす。何だかとても感慨深かったし愛おしい瞬間だった。





RUNスタート直後、脚はやっぱり重かった。当たり前か、、、
2Lapから、いつものジョグベースに戻る。
今年の大会で唯一の知人(の息子)がいた。NZに入ったとき、その知人から連絡を受けた。知人は、転校先の朝スイムで同じ水槽仲間だ。
知人の息子は、大学のトライアスロン部に所属、卒業旅行として部員9人でIMNZへエントリー。その彼とは、ようやく2Lap目でお互いを認識、言葉を交わすことになった。彼のジャージに名前が入っていたため、わかりやすかった。若いだけあって流石に速い、、、
宿の前がRunコースであったため、Lapを刻む度にカウベルを振り鳴らす、てるみんの姿。何度も励ましと激励を受けた。



3Lap目、とうとう陽は沈み選手らに「屈辱のw」蛍光バーが付与された。
折り返し地点まで、湖畔をひたすら進む。このロケーションに似た風景を思い出した、スイス、チューリッヒ湖畔だ。
全く違うのは夜空、特に南十字星の上にあるカラス座が大きく綺麗に輝く。
コースは4LAP。
折り返すと、3つほどの上り坂を越えなければならない。
その内のひとつは、意外に急坂。「上り坂は走らない」と誰かが言っていた気がする。そうそう「野辺山ウルトラマラソン」の、コースディレクター坂本雄次さん(24時間テレビで有名)が、大会前日の説明会で言っていたっけ。
4Lap目の往路で、てるみんから桶隊の手拭いを受け取り、頭に巻く。いよいよこれで終わりだ。

この1年間、昨年のIMNZDNFが、気持ちの中でとても引っ掛かっていた。
Finish gateをくぐるための、冬場の練習は辛かった。56錬、銭湯様々な場面がリフレインしてきた。
特に、もう二度と冬場の練習はしたくないと痛烈に思った。
Finisherだけが受け取る、メダル、タオル、そして40周年記念パーカーのノベルティの数々をてるみんへ手渡さなければ、この旅は終わらない。
いろいろな思いを抱きつつも、レース気分を少しでも長く味わいたい気持ちもわいてくる。だから折り返し後のコースは、徒歩が多くなった。
SWIM後、走り渡った橋が遠くに見えたのに、次第に近づいてきた。
ここからは、残りは約1㎞。

ゆっくり走りつつ、左折するとGoalゲートへと導くレッドカーペット。
「Taro Taro Taro Iriyama from Japan You’re an IRONMAN!」
名前を連呼してくれる。明るくまぶしい向こうが見えてきた。
このアナウンスを聞くまで、1年かかった。











to be continued…